今月のおすすめその五手打ちそば竹ふく

増しに頬をなでる風の冷たさが増していく秋の終わり、山形市本町を歩いていると、筆で大きく書かれた「もちや」という看板が視界に飛び込んできました。その風合いからは、お餅がもつ、柔らかさやどこか家庭的とも言える、あったかい印象を感じました。

内に足を踏み入れると、「いらっしゃいませ」という声に誘われるまま、私たちは、竹林が望める席に腰を下ろしました。
時刻はお昼過ぎ。ゆったりと時間の流れる店内を見渡せばお雑煮で冷めた身体を暖めるおじいさん、買い物袋を片手に、おしるこをすするおばさんや常連さんでしょうか、店主と談笑してお餅を持ち帰るおじさんの姿が見えます。
店内は、表通りに面していながら、少し奥まった位置にお店を構えているため、通りの喧騒とは無縁の落ち着いた雰囲気。
差し出された、熱いお茶を飲みながら、メニューを決める時間も何だかほっとする時間でした。

七日町大通り沿いに建つ。奥に長いしつらえからは、城下町時代の町割を感じさせる。
店内冬晴れの陽射しが、竹林を通して店内にこぼれる。   餅三昧餅三昧(730円)右から時計回りにくるみ餅、あんこ餅、おろし餅。それぞれ違った表情が集まると見た目も楽しい。

品のメニューではお餅が7つ入っているのですが、この「餅三味」は納豆餅、ぬた餅(枝豆、夏季限定)、あんこ餅、あべ川餅(きなこ)、ごま餅、くるみ餅、おろし餅の計7種から3種を選び、お餅が食べられるお得なメニュー。さらに吸い物とお新香がついてきます。あれも、これも食べてみたい!という食いしん坊におすすめです。
まずはほんのりと甘い香りの漂ってくる、くるみ餅。マシュマロをぷっくりと膨らましたようなお餅は、さすが老舗!というべきでしょうか、噛みちぎりやすく、それでいて伸ばそうと思えばどこまでも伸びてしまいます。行儀が悪いと思いながらついつい、うにぃー。くるみの香ばしさと甘じょっぱさが再現されており、濃厚な見た目とは反してあっさりとした味です。
おろし餅は、大根おろしとなめこをダシで和えたもの。もちもちとした温かいお餅と、こりこりとした冷たいなめこの食感はとても好相性。ほんのりとした辛みのあるおろしも相まってつるりと喉へ入っていきます。
定番(?)のあんこ餅は日本的な甘み。洋菓子には決して出せない繊細な甘みがアメリカンナイズされた舌にうれしい。共に出されたお吸い物がさらにあんこを引き立たせていました。

「おしるこ」を頼んだきゃんさんは、まず目の前に出された器の蓋をそっと開けました。
ふわっとした湯気と一緒に目にとびこんで来たのは、手のひらを転がる大きさのお餅が三つ。口に運んだ瞬間、その柔らかな食感におもわず口元が緩みました。
また器に口を持っていき、傾けた途端、長い間煮込まれた小豆が汁と共に流れ込み、おしるこ独特の甘味が感じられました。
別の器に添えられたダイコンのお漬物は、甘味で満たされた口の中をさっぱりとさせ、お餅とは異なる、コリッコリッとした食感が、心地よい食のリズムを与えてくれます。

おしるこおしるこ(400円)甘い小豆のなかに浮かぶ三つの餅がかわいらしい。

  雑煮餅雑煮餅(680円)三つ葉の青々とした色合いが瑞々しい。

して、この時期にしか食べることのできない季節限定品「お雑煮」も注文。
まず、器に浮かぶ三つ葉とかまぼこの色合いが、どこか安心感を与えてくれます。思わずレンゲを使ってスープをすくい、口に含んでみると、醤油ベースのさっぱりとした味がとても美味しく食欲をそそりました。
お餅を食べようと箸で器の中を探ってみると、しいたけやごぼう、鶏肉が顔をだしたとき、スープの美味しい理由が分かりました。食欲をそそったのは野菜はもとより、鶏肉の旨味だったんですね。
おしることは違った、四角形のお餅の表面には焦げ目があり、目でも美味しさを感じることができ、スープを最後の一滴まで飲み干してしまいました。

治初期から今日に至るまで続く、池田屋さんが出してくれるお餅は「羽二重餅(はぶえもち)」と称されています。
羽二重餅とは、入学式や卒業式といった様な場で、大切な誰かのためにお祝いの意を込めた、白く滑らかについたお餅のこと。
食すお客さんのため、柔らかなでありながら力強いお餅や、食べやすい太さに切られた野菜、お餅に添えられた さっぱりとした漬物とその食べやすい厚みからは、羽二重餅「池田屋」の心遣いが感じられました。
寒さが強くなるこれからの季節に、お餅のみならず、そこに込められた店主の温かさは、この街を歩く人にとって、ほっとするひと時を与えてくれることと思い、店をあとにしました。

(2005年11月27日 探険隊員:きゃんさん、キックス)

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探険隊コラム

第一小学校の旧校舎は、昭和2年に竣工された県内初の鉄筋コンクリート造の学校建築です。
この建物について、最初の話し合いの場がもたれたのは平成5年でしす。当時、すでに校舎はかなり老朽化しており、壁が剥がれ落ちる、暗い・寒い…など、教育環境として劣悪と言わざるを得ない状況でした。PTAと学校関係者によって組織された委員会は、話し合いを重ね、平成7年に全面改築を決議、山形市へ陳情を提出しました。
転機となったのは、平成9年7月に、山形新聞紙上に「山形一小を登録文化財に」と題された意見記事(東北芸術工科大学環境デザイン学科の温井亨助手(現 同助教授)執筆)が掲載されたことでした。
山形市の中心市街地では、伝統ある建物が少しずつ取り壊され、そのことを気にかけていた市民が少なくなかったのだと思います。この頃から少しずつ、古いものを後生に残していこうという意見が出始め、平成11年に旧校舎の歴史的価値と建物の安全性についての調査が行われることになりました。
調査の結果、旧校舎の歴史的価値は高く評価され、平成13年に国の登録文化財の指定を受けるに至りましたが、コンクリートの中性化、鉄筋のカビなどは深刻で、教育施設としての耐震基準を満たさないこともわかりました。
旧校舎を文部科学省の定める基準を満たす建物にするためには、新校舎の建設費用と同程度の改築・補強費がかかることから、旧校舎の学校としての利用は断念され、教育施設としての機能は、新たに建設される校舎が担うことになりました。
続けられてきた話し合いのテーマは、新校舎をいかに旧校舎とリンクしたものにするか、へと変化していきました。父兄や学校関係者、地域住民が校舎の配置や外観について意見を出し合い、話し合いの結果を吸収するかたちで新校舎のコンセプトがつくられました。そして、昨年新校舎が竣工しました。
子供達により良い環境で学ばせたい、という想いから参加し始めた活動でしたが、私の子供達はすでに一小を卒業しました。旧校舎は解体を免れ、子供達の学舎は新しくなりました。今春、改めて山形市立第一小学校旧校舎保存活用を考える会が発足しました。旧校舎をできるだけ長く保存し、活用していくために必要な補強工事に向けた調査を始めたところです。これからは地区だけの問題としてではなく、さまざまな人の意見と賛同を得ながら、旧校舎と旧校舎のある地域の将来について考えていきたいと考えています。

山形市立第一小学校
旧校舎保存活用を考える会
幹事長
西谷真一さん